きっともう大丈夫
しばらく花火を楽しんでいるとハルが花火を片づけ出した。
私も一緒に後片付けを手伝う。
ごみを捨てに行こうとすると
「沙希はそこにいてよ・・・」
そう言って一人で後片付けを済ませてしまった。
それから間もなくハルが缶ビールとつまみを持って戻ってきた。
私たちはウッドデッキのリクライニングチェアに座った。
ハルから缶ビールを受け取り乾杯をした。
「・・・・で花火の後はこれ?」とビールを指すと、ハルは首を横に振る。
そして夜空を指した。
「え?」ふと空をみあげると、そこには都会では見られないほどの
満天の星空があった。
「き・・きれい・・・。花火に夢中で全然気がつかなかったよ。」
ハルはビールを飲みながら笑ってた。
「ハルって・・・星座に詳しいの?」
「詳しいのかな?・・・・小学生の時の自由研究は星の観察とか惑星に
ついて調べたりしたけど・・・沙希は?」
「・・・・・あんまり・・・でも夏の大三角形はわかるわよ。・・・・あの右の星がこと座のベガ、織姫ね。そして左側が・・・・はくちょう座のデネブ」
「すごいな~~」
ハルが感心してる。
「ふふふ・・・そしてあの下にあるのがわし座のアルタイル・・彦星よね」
「なんで?そこまで知ってるの?」
「私も昔夏休みの自由研究で夏の星座を調べてね・・」
「そっか~。俺もこれだけは知ってたよ。七夕の時って曇りが多くってさ
、なかなか見ることが出来なくって『これじゃー織姫と彦星が
あえないよー!』って親にあたってたらしいよ」
「かわいい。」
「・・・・・・・俺たちも・・・」
「え?」
「俺たちも時間・・・かかったね」
「・・・そうだね。ずっと曇っててたどり着けなかったのかな?」
「そうかも・・・そして沙希は違う人を彦星だと思って結婚しちゃって・・」
「ハル!」
「ごめんごめん。くくく・・・そんな怒んなって。今のは完全にひがみや嫉妬だから」
「・・・・・・」
「でもこうやってやっと俺は俺の織姫と再会できて幸せだよ」
「ハル」
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