きっともう大丈夫
もうすぐクリスマス。
10月じゃまだ早いと思うがそうでもない。
今から展開して売り場作りしないと意味がない。
暑さで何も考えられない8月にクリスマス商品の受注会があり
商品が届くのが10月。
そして今、私はこの大量のクリスマスグッズの値付け&ディスプレイのため
毎日夜遅くまで働いている。
小物の値付けが終わり今日から店のディスプレイ用のクリスマスツリーの飾りつけにとりかかる。
1.5mの大きなツリー3本にグラスボールや造花、リボンを使ってツリーを飾る。
この時ばかりはテンションが上がるがセンスも問われるので
詩織や手の空いてるスタッフみんなで作った。
今日は明良に時間を作ってもらい、最終チェックをお願いしていた。
明良は外出しており、予定より帰りが遅くなるとの連絡があったため
私以外のスタッフには先に帰ってもらった。

しばらくすると、
「おー待たせて悪かったな。」
疲れきった顔の明良が帰って来た。
「お疲れ様・・・って大丈夫疲れてない?」
「ん?・・・大丈夫。今まで社長と話してただけだから」
社長と?
何だろうと思いながらも我ながらいい出来のツリーを見てもらいたくて
ウズウズしていた。
「ツリーだったよな?」
「うん!あと売り場もね。みんなで作った力作だよー。みてみて」
店内の電気をつけると
ブルー系、ホワイ系ト、ゴールド系の3体のツリーが店の入り口と中央とレジ横に置かれていた。
それを黙って真剣な目でチェックする。
この時の明良の顔って本当にかっこいいのだ。
ツリーよりもついつい目が明良の方にいってしまう。
「いいじゃん」
「え?」
「お前にしては上出来!腕上げたな。」といって頭をなでる。
「・・・ありがとう」
誰よりも明良に褒められるのが一番うれしい。
「ねぇ。もう仕事終わったんでしょ?もう遅いし、ラーメンでも食べて帰らない?」
「・・・・・」
「明良?」
また考え事してる・・・母の日ぐらいからよく何か考え事をしてる姿を見る
でも明良はその時が来たら話してくれるって言ったから私も聞かないようにしていた。
「・・・沙希・・・話があるんだ」
「話?」
「ああ。・・・車出すからあの公園に行かないか?」
それは明良に告白されたあの思い出の公園だった。
私は黙って頷くと、帰る支度をし、施錠して店を出た。


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