きっともう大丈夫
「オーナー」
菜々美だった。
「何?」
「大事な話があります」
菜々美は俺の前に立つと物凄くにこにこしながら
とんでもない言葉を発した。
「赤ちゃんができたんです。」
一瞬何を言っているのかわからなかった。
「赤ちゃんって、誰の?」
二人の間に一瞬の沈黙が流れた。
「もちろん、明良さんのですよ。3か月だそうです」
菜々美の言葉に持っていた缶コーヒーが缶ごと滑り落ちた。
顔面蒼白って今みたいな時に使うのかとおもった。
「ほ・・本当に俺の子か?」
頼む違うと言ってくれ。俺は・・・俺はさっきまで
沙希との子どもを夢に描いていたばかりなのに

だが菜々美はにこにこしたまま話を続ける
「もう~冗談よしてくださいよ。はじめてブートニアを作った
あの日に出来た子です」

そうだ・・・あの日俺は・・・・

沙希が詩織の出産で呼ばれたとは知らず、店に顔を出すと、
そこには菜々美しかいなかった。
ブライダルの勉強を熱心にやってると沙希から聞いてたから
少し見てやろうと思ってたら
菜々美がいきなり抱きついてきた。
「好きなんです・・・初めて会ったときから」
「俺には沙希だけだから気持ちには答えられない」
そう言って俺は拒んだ。だがあいつの大きな胸がやたら当たって・・・
そしたら情けないことに理性がぶっ飛んだ。
正直菜々美の事は何とも思ってない。
ただ単に理性よりも性欲が勝ってしまった。
避妊具を持っていなかったから途中で辞めようと思ったが
菜々美はそれを拒んだ。
私はピルを飲んでるから妊娠はしない。だから大丈夫だと・・・
俺はバカだった。菜々美の言葉を信じて最後までやってしまった。
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