きっともう大丈夫
「ねえ―沙希?」
詩織が私の顔をじっと見つめた
「何?」
「いい加減恋愛しなさいよ。あんたにはその権利があるのよ」
権利か~
「今すぐこの子と付き合えって訳じゃないの。でもね、次に進むべきよ。
明良の事だってもうふっきれたんでしょ?だったら・・・」
明良の事は吹っ切れている。恋だってしたい
でも・・・なんかこうも恋愛がご無沙汰だと
最初の一歩が踏み出せないって言うか・・・。
・・・要するにヘタレになったんだよね
そうやって自分の情けなさを再確認してると
「ね!ここにメールしてみなよ」
詩織がハル君の名刺を裏っ返しにして手書きのメルアドを指す。
「えー?メール?」
「何が『えー?メール?』よ。別に挨拶だけでもいいじゃん。
相手は沙希のメルアドも番号も知らないんだよ。あんたがここでメールしなかったら・・・」
「しなかったら?」
詩織はにやりと笑うと、かなでにこの名刺を渡すと言った。
「なんでそこにかなでちゃんがでてくるのさ」
詩織の考えてる事がわからん。
「いやいや、かなで喜ぶよ~。だってあのイケメンよ!
かなでは二十歳そこそこでしょ~あんたから見れば僕ちゃんかも
しれないけど、かなでからみたら大人のお・と・こ。
喉から手が出るほど欲しがるに決まってんじゃん」
一瞬かなでちゃんとハルのツーショットを想像したら
よくわかんないけど嫌だと思ってしまった。
それは彼がすごくかっこよくなっていたからなのか、
それともかつて、自分の事を凄く好きでいてくれたっていう
うぬぼれなのか・・
「で?どうする?メールするか、それともかなでにやるか」
「ねー。それって選択肢は2つ?」
詩織は笑顔で頷く。
うーん。なんかうまいこと丸めこまれた様な気持になるのは
どうしてだろう。
結局私はメールするって方を選択した。
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