きっともう大丈夫
 「今日、ここに来たのはさ、あの時、途中だったじゃない。
年の差ってだけで、俺の納得できる理由で振られたんじゃない。
正直俺は振られたなんて思いたくもない。だから・・・」
「・・・だから?」
ハルの目は真剣だった。
今まで彼がどんな9年間を送って来たのかはわからない。
でもその9年間の中で私という存在が彼の中にいたことは間違いない
私は?私の中にハルはいたのだろうか・・・
「もう一度・・・ここから始めたいと思ったんだ。」
「え?」
「・・・・じゃあ・・・直球でいきます。・・・沙希さんが好きです。あの時からずっと・・」
「ハル・・・」
「ハハ・・これだけは成長してないかも、あの時と全くおんなじ
セリフだし・・・ってか、あの時から気持ち変わってないんだよ。」
冗談混じりの言葉だけど彼は真剣だった。
「・・・・・・」
「俺の中ではあの時から時間が止まってんの。だから・・・今度会う時は
子どもだとか、年の差だとかを理由にさせない男になってやるって決めて
とにかくがむしゃらに勉強していい大学に入って、いい会社に就職した。
全ては沙希さん、あんたのため・・・あんたと対等になれる大人になりたかったそれだけのために俺は生きてきた」
今凄いこと言われたよね。
私みたいな女にここまでするなんて・・・私はどうすればいいの?
私、ハルにそこまで言ってもらえるような女じゃないのに・・・
「ハル・・・あのね・・私」
「ごめん。まだ沙希さんの話は聞かないよ」
「え?」
「どうせ、ネガティブな事しか言わないんでしょ?
 俺そういうの聞きたくないし・・・。」
あー何だか私の考えが完全に読まれてるよね。
こんなこと言われてうれしくない女はいない。
でもね、なんでだろう~
即答できないのってやっぱり私がバツイチでおばさんだから?
って、これも立派なネガティブ発言。
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