沢山の気持ちを君に伝えます!!
キミと俺との出逢い。
俺と麗夏さんの出逢いは、最近仲良くしているグループでのパーティーだった。
俺は栗朱家の長男だし、将来は約束されている。
でも、たまに俺なんかでいいのかな?
とも思う。
「…勇馬、私と一緒に来なさい」
父さんに言われて、拒否権なんてまるでない。
「…はい」
俺はいつも一言頷くだけだ。
きっと、父さんは…俺の顔を利用したいだけなんだろうな…。
俺はまぁまぁ顔はいい分類だと思う。
『愛嬌ある可愛い王子様』
俺には愛嬌なんてものはまるでないけど…、皆が創り上げるんだ。
父さんだって…。
俺は黒のタキシードを着て、父さんの後に続いた。
会場に入ると、急にガヤガヤしだす。
俺は父さんの後を笑顔で歩く。
「…こんにちは。鈴宮さん」
父さんが笑顔を向けるその人は…。
「…あら、こんにちは。栗朱さん」
そこには年齢を感じさせない女の人が立っていた。
青のドレスに身を包み、整っている顔に笑顔を浮かべる。
「…栗朱さん、この子は息子さん?」
興味津々の顔で尋ねてくる鈴宮さん。
「…そうだよ。整っている顔立ちはしているだろう?」
自慢そうに言う父さん。
「…こんにちは。栗朱 勇馬です」
「…勇馬君かぁ!カッコいいね」
そう言って俺の頭を撫でてくれた。
久々の感覚に俺はついつい笑ってしまった。
「…あ、麗夏にも紹介しときたいわね。栗朱さん、勇馬君を借りてくわ」
父さんの返事を聞かずに歩き出す鈴宮さん。
この人、凄い自由人だな…。
会場を出て、ホテルの最上階までエレベーターで上がっていく。
そして…一つの部屋に着くなり、スペアキーで開けてしまった。
えぇ!?
開けちゃっていいの!?
不法侵入なんじゃ…!
俺は捕まりたくないと思い、入り口で佇む。
「…あ!?お、お母さん?」
女の人の声が聞こえて、後退る俺。
「…今日は紹介したい子がいるのよ」
そう言って、部屋になかなか入って来ない俺の手を有無を言わさずに連れて行く!
この人!
ついてけねぇ!
「…栗朱 勇馬君よ?可愛らしい顔立ちでしょ?麗夏、可愛い人がいいって言ってたものね」
俺は…遂に警察沙汰になるんだ、と考えていて女の人を見ていなかった。
「…勇馬君?」
「…あ、はい」
ほらみろ!
事情聴取だよ!
しょうがなく顔を上げる。
すると…随分と美人な女の人がベッドの上に居て…。
綺麗…。
思わず見惚れてしまった。
「…可愛い!お母さん!あたしこの子がいい!」
「へっ?」
俺はすっとんきょんな声をあげてしまう。
「あら、気に入ったの?麗夏が男の子気に入るなんて初めてよね!」
俺を麗夏さんって人に引き渡す鈴宮さん。
悪質売買になってますよ!
俺、鈴宮さんにトンッと背中を押される。
すると、フラッとベッドまで。
すると、麗夏さんは俺の顔をマジマジと見つめる。
大きな二重の目。
綺麗に長細いまつ毛。
色白の肌。
「…可愛い」
「…え?」
「取引成立!」
…俺マジで売買されてたの!?
「じゃあ、麗夏…あとは二人きりでね!」
そう言ってもと来た道を戻って行く鈴宮さん。
どうすればいーんだよ。
俺はポリポリと頭を掻く。