不意打ち男子のずるいとこ
「文化祭の衣装のことでしょ?」
カバンの整理をしていた手を止めて、
座っているから、少し私を見上げる守谷。
瞬間、
久しぶりに守谷と目があった。
昨日も目があったけど、一瞬だったし。
もしかしたら私の気のせいだったのかも。
とか、あいまいだったし。
こんなに目線が交わったのは、ほんとうに久しぶり。
「そ、そうなの!
守谷はどんな衣装がいい?」
嬉しすぎて泣きそう...。
「なにがある?」
危うく守谷の前で泣きそうだったけど、何とか持ちこたえる。
「一応こんな感じで揃ってるんだけど...」
貸し出し用の用紙を見せると「う〜ん」と悩む守谷。
昨日のアイスを選ぶみたいに。
やっぱり守谷って悩むタイプなんだ。
私の適当に選びそうな、勝手なイメージは違うんだね。
「守谷はスーツ似合いそうだけどな」
突然隣から声が聞こえてきたと思ったら。
久留米くんだ。
「...ないわ、
俺、浴衣でいーよ新沢」
「あっ...うん」
守谷に、新沢って言われた.....。
なにもかも久しぶりだ。
なんて感激している暇もなく、
久留米くんのひとことに私と守谷が固まってしまったのは事実。
「「え」」
守谷と私の声がかぶったのも事実。