不意打ち男子のずるいとこ





「っ.....新沢!」


突然そんな声が聞こえて、私の手首が誰かに掴まれた。



え、

って思うよりもはやく、守谷の声が背中ごしに聞こえる。





「文化祭、


.....楽しめよな」



なぜかその声が寂しそうで。

反射的に振り向いてしまう。



でもその時には掴まれてた手首も解放されてて。

さっきまでそこにあった温もりが、だんだん覚めていく感覚がした。




「...ごめん、

もう関わらないとか言ってこんな中途半端なことして。


もう最後だから。


楽しめよな!文化祭」



守谷は背を向けたままそう言うと、席をたってどこかへ行ってしまった。








.....何、それ。

なにそれ、なにそれ、なにそれ。



私の視界がぼやけてくる。





最後って何?


またこうやって話すことはできないってこと?

次はもう守谷と話せないってこと?





泣いちゃ、いけない。

苦しいけど、泣いちゃいけない。





「あーあ...。


砕けちゃったよぉ.....」



今にも溢れ出しそうな涙を堪えて、私も教室から出る。



そのまま保健室に向かう。


保健室に着くと、そのまま真っ白なベッドにダイブする。


いつかこれやって、虚しくなったっけ。


でもね、あの時よりずっと虚しくて苦しい。









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