不意打ち男子のずるいとこ





「新沢、

もういいから金田と文化祭回ってこいよ」



沈黙を破ったのは守谷で、ふぅとため息をつくのが分かった。


ため息をついたのは守谷だけじゃなく、金田くんの方からもふぅ〜とため息が聞こえてきた。





「ありがとう...助かりました...」



2人に頭を下げてお礼を言う。




「ん」



軽く頷いた守谷はまた自分の持ち場に戻るのか、歩き出した。




すれ違う時に、


「バーカ」



そんな言葉を残して。



イタズラっぽく笑った守谷にキュッと胸が掴まれる感覚。





それと同時に顔が熱くなるのを感じた。


絶対私、顔真っ赤だ。




バカ守谷。

好きすぎるわ、バカ。



なんで、関わらないなんて言っておきながら。



なんで、助けるの。



これじゃますます好きになっちゃう。



なんだか守谷がヒーローに見えちゃうよ。



ううん、私にとって守谷はもうヒーローだよ。




好き、好き、大好き。


もうこの気持ちは止められないのかもしれない。









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