不意打ち男子のずるいとこ
No.3だから、3番めのイスに座ればいいのかな...。
わけが分からずにおどおどしながら座ると、隣からよく聞いたことのある声がした。
「寧位ちゃん!!」
名前をよばれて右を振り向くと。
「実瑠(ミチル)ちゃん!」
ショートカットの毛先を内巻きにした、可愛い女の子がいた。
「寧位ちゃんはやっぱり金田くんなんだね!」
私の胸元を見て実瑠ちゃんが微笑んだ。
私はやっぱり金田くん.....?
どういうことだろう?
首を傾げると実瑠ちゃんも梨沙子同様、固まった。
「寧位ちゃん...相変わらず鈍感なんだね」
ま、また鈍感って言われた.....。
実瑠ちゃんにも鈍感って言われた....。
「寧位ちゃんらしいけどね」
フフッと笑った実瑠ちゃん。
可愛いなあって眺めてると、実瑠ちゃんの胸元のバッジが目に入った。
No.2 枢木・松江
私と同じように、ハートの形の中に書かれてる2人の名前。
枢木って.....。
「枢木(クルルギ)くん?」
そうつぶやくと、実瑠ちゃんの顔が真っ赤になった。
「そ、そうなの...」
松江(マツエ)って苗字は実瑠ちゃんの苗字。
ってことは枢木ってあの、枢木くん?
「な、なんか体育館に4時に来いって言われて...」
真っ赤な顔の実瑠ちゃんが、恥ずかしそうに言う。
枢木くんと実瑠ちゃんは1年の頃に同じクラスだったんだけど...。
2人はいつも口ゲンカ...?なのかな、2人とも突っかかってるイメージなんだよね。
仲良くはなかったはず。
なのにどうして2人の名前が書かれてるんだろ。
でも実瑠ちゃんの反応を見る限り...。
そこまで考えてハッとした。
「もしかして実瑠ちゃん、枢木くんのこと.....」
そこまで言うと、実瑠ちゃんはコクコクと頷いた。