不意打ち男子のずるいとこ
「周りからはあんまり仲良くないイメージだよね。
あれは照れ隠しであんな態度とっちゃったっていうか.....。
口ゲンカしてるけど、アイツの良いところもたくさん見つけて」
好きに...なってた。
そう言うとさらに実瑠ちゃんの顔が真っ赤になった。
ドクンと心臓が波打つ。
私も守谷のこと、いつの間にか好きになってた。
知らないうちに。
私と実瑠ちゃんって少し似てるかも。
でも、そっか。
そうだったんだね。
あの口ゲンカの原因が照れ隠しだったなんて。
「いつもはなかなか言えない気持ちを、このイベントで言うんだよね。
どんなことアイツに言われるんだろ。
嫌味だったらどうしよう...
お前が嫌いなんて言われたら.....立ち直れないよ〜〜〜」
どこか緊張気味の実瑠ちゃん。
うっすら涙を浮かべて本気で心配そうだ。
好きな人に突き放されちゃったら、誰でも立ち直れないよ。
「わ、私もその気持ち分かるよ!!
突き放されちゃったらどうしようもないよね...。
でも大丈夫だよ!枢木くんはそんなことこんなイベントで言ったりしないよ。
もしそうだとしても、実瑠ちゃんの気持ちもこの際だからぶつけちゃいなよ!」
気持ちをぶつけるってそう簡単なことじゃないけれど、伝えられなくてモヤモヤするよりずっといい気がするんだ。
気持ちをぶつけることに時間がかかってもいい。
いつか、その人に届けば。
「寧位ちゃん.....鈍感なのは変わりないけど、変わったね!
いつも可愛いけど、こーんな可愛い寧位ちゃんの表情見たの始めて!!
そうだね!私もアイツに...枢木に自分の気持ち伝える。
寧位ちゃんも、伝えるんでしょ?」
えっ、
と実瑠ちゃんの言葉を聞いて言葉がつまる。
「寧位ちゃんをこんな顔をさせる人がいるんだね。
寧位ちゃんの好きな人は、
.....金田くんなの?」
私、どんな顔してるんだろう。
手で触って確認したいくらい。
けれど.....。
「あれ?
その様子だと...違った?」
実瑠ちゃんの問いかけにどう返事すればいいのか分からないよ。
私の好きな人。
そう思ったら、すぐに守谷が浮かんでくる。
実瑠ちゃんにコクンと頷くと、
「そっか、誰だろう!
いつか教えてね」
そんな声が聞こえてきて、また私は力強く頷いた。