不意打ち男子のずるいとこ
「ち、違う!!
違うんだ梨絵!!!」
何かドラマの一部分を見ているかのような平井くんのセリフ。
けれど黒木さんはまだ平井くんを睨んだまま。
「知らないわよ!!
もう、ほんと信じられないから!!!
あ、アタシはあんたのことす.....」
そこまで言って寸止めした言葉に、誰もが息をのんだはず。
きっと黒木さんは平井くんのことが好きなんだ。
それくらい、鈍感鈍感言われる私にだって分かるよ。
「も、もう知らないっ!!」
これまたハッとした黒木さんは、マイクを司会者に渡してステージからものすごい勢いで降りていった。
その後を追い出した平井くん。
皆の視線が体育館を走る2人に向かっている。
「待て!!
俺も好きだーーーーー!!!」
平井くんの声が、今度はマイクごしじゃなく、体育館内に大きく響いた。
そのまま体育館を出て行ってしまったから、あの2人がどうなったか分からないけど、きっと両想いになったんだろうなって思う。
これじゃ校内公認のカップルだ。
「1番めからすごかったですね...
しかしイベントはまだまだ始まったばかり!
それではいきましょう!!
No.2 枢木アンド松江ペア〜!!」
司会者の声に、2人を目で追っていた皆がステージの方を向いた。