不意打ち男子のずるいとこ





「じゃあ...良かったら、

約束の話、聞いてくれますか?」



金田くんに優しく見つめられる。





約束の話。


文化祭を一緒に回って楽しい1日にできたら...金田くんの話を聞く。



そんな約束だったよね。





「もちろん!」


「...良かった」




たぶん.....次の言葉で何て言われるのか、分かる。


ドクン、ドクンと段々心臓の揺れるのが早くなる。




緊張で冷や汗をかく中、ぎゅっと目を瞑った。







「俺、先輩のことずっと前から好きです。」




そんな金田くんの声が聞こえて、バッと顔を上げた。




そう言われるのを分かっていたようで、分かってなかった。


けれど、そんな気持ちに気づいたのはつい昨日のこと。


思わせぶりな金田くんの態度に、あれ?って感じて。



でも金田くんは、“ ずっと ” って言ったよね。



もしかしたら私への気持ちに気づいてほしくて、ずっと前から頑張ってきたのかな。





あの何気ない帰り道での会話も。

私を校門で待ってくれていた日も。

文化祭の朝、迎えにきてくれたのも。




思い出せば、どんどん思い当たることがあって。



鈍感、鈍感って言われてきた意味が分かった気がするよ。





私.......最低だよ。


金田くんの気持ちに気づかないなんて。



それなのに私は金田くんを可愛いとか言っちゃって。



金田くん、傷ついたはずだ。



好きな人の何気ない言葉でも、傷ついちゃうんだよ。











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