不意打ち男子のずるいとこ
「俺には、寧位先輩をそんな顔にはできない。
ましてや幸せにすることなんて、できないって」
その言葉を金田くんが言った瞬間、会場がザワザワとしだす。
私の心の中も、ザワザワ落ち着かない。
金田くんが、私のことをそんなに思っていてくれてたなんて知らなかった。
気づかなかった。
とことん、私は鈍感だ。
鈍い。
ひどい。
最低。
そんな気持ちがズシリとのしかかる。
幸せにできるか、なんて好きな人に思ったこともなかった。
そこまで、考えてくれてた金田くんの気持ち。
ゆらゆらと私の心が揺れる。
けれどそんな金田くんの気持ちに、私はー...
「寧位先輩のことだから、自分をせめてるんでしょ?」
応えることはできない。
そう思った時に、金田くんの優しい声が聞こえた。
クスクス笑う金田くんはいつも通りの金田くんだ。