不意打ち男子のずるいとこ
「...バカ先輩。
最後までズルい」
金田くんから出てきた言葉に、次は自分が驚いた。
けれど、ツカツカと歩みよった金田くんは私の目の前にきて。
「次は先輩が気持ち伝える番ね」
私の耳元でそう呟いた。
さっきよりも、もっともっと驚いた。
.....次は、私の番。
気持ちを伝えたい人がいるんでしょ?
さらに続けて金田くんがつぶやく。
気持ちを、伝えたい人。
今すぐに、伝えたい人。
いる、いるよ。
そんなの、世界でたったひとりだけ。
...守谷しかいない。
頷くと金田くんのあの、あどけない笑顔が見えた。
だったら、
そう言うと。
「いってらっしゃい」
金田くんの笑顔で言ったそのひとことが、私の背中を押してくれる気がした。
「いってきます」
私も、伝えなきゃ。
皆からもらった勇気で、私、何でもできそうだよ。
守谷に、気持ちを伝えるために。
好きって、伝えるために。
私はステージを降りた。