不意打ち男子のずるいとこ
驚いて一度目を大きくした守谷。
けれどそんなの一瞬で、大きく開いた目をすぐにスッと細めた。
「...ん、聞くよ」
そう言うと、私の腕を引いた。
そのまま腕を掴まれたまま歩く。
守谷に触れられている部分がジンジンと熱くなってきた。
けれどそれもなんだか愛しく思えちゃうなんて、私って重症なのかも。
着いたのは.....誰もいない教室。
まだ少しだけ夏祭り風喫茶店の名残のある教室。
ロッカーや机に散らばってる、みんなで一生懸命つくった看板が目に入った。
「.....」
「.....」
教室に着いてからひとことも話さないから、沈黙が続いた。
ドキドキとうるさい胸はそのままなんだけどね。
だってこれから私が言うことは、もう守谷と一緒に話したりできなくなるのかもしれないから。
守谷と話すのが、もう...最後になるかもしれないから。
でも.....この教室に連れて来られることは何となく分かってた。
守谷のもう一つの顔を初めて知った場所で、守谷の秘密を知った場所だもん。
この教室から始まったんだ。
.....私の恋は。
そして.....このままここで、終わっちゃうのかもしれない。
そう考えたら、正直思いを伝えることが怖いよ。
.....怖いけど。
こんな中途半端な関係でくよくよしちゃうくらいなら、もういっそ思いを伝えたい。
どんな結果になっても。