不意打ち男子のずるいとこ
「え、俺?」
突然話しかけられたナツキはその子を見てビックリした顔をする。
「ヤダ〜
守谷くんっていったら君にきまってんじゃん〜」
アハハと笑いながらもさり気なくナツキの腕へボディータッチをするその子。
「そう...だよね」
少し戸惑いながらも愛想笑いを浮かべるナツキ。
なんだかその全部が、ヤダ。
なんで....ボディータッチされても避けないの...?
完璧にその子はナツキのこと気になってるのに、そんな風に接するの?
そして、なんでこんなに醜い感情が出てきちゃうのっ....?
ぐっと唇をかみしめる。
メールで、ナツキに
付き合ってることは誰にも言わないでほしい
ってお願いされた。
もし、ここで私が動いたら
ナツキからのお願い、破ることになっちゃうよね。
だけど.....
だけどね......
メアド交換はしなくてもいいじゃん...。
今にもメアド交換をしそうな2人になんだか胸の奥から込み上げてくる。
なにこれ.....チクチクする。
そして、ハッとする。
これ、ナツキにヤキモチ妬いてるんだ。
その正体が分かった瞬間、なぜか体が勝手に動いてて。
気がつくとナツキのそばに近づいて、袖をくいっと引っ張ってた。
そして、何か言おうとしてたナツキの言葉を遮って、
「ナツキ......やだっ」
泣きそうになるのをこらえて、やっと言えたのはそんな言葉だった。
.....ナツキが誰とメールしようがナツキの勝手なのに...私、束縛しようとしてる。
ダメな彼女だよね...。
そう心の中でため息を吐くと。
「寧位?」
優しく私の名前を呼ぶナツキの声が聞こえた。
そのことさえ嬉しいのに...自分はダメな彼女だって思ったら、顔を上げれない。