不意打ち男子のずるいとこ
彼の秘密
「とりあえず座れよ」
ぼーっとしていた私にあのイケメンくんがトントン、と自分の隣の机を叩く。
急な展開に頭がついていかないんですけど。
イケメンくんは私がぼーっとしてる間に、いつのまにか席に座っていた。
「座らねぇと話せないんだけど」
声は守谷のままなのに、冷たい、低い声が気になる。
でも、目の前にいるのがほんとに守谷なんだって実感させられる。
「う、ん・・・」
今の守谷になんて返せばいいのか分からない。
昔の、っていうより、真面目でメガネ男子の守谷だったらきっと今頃は「ごめんごめん!」とか、「今から座るよ〜」とか、言えてたのかな。
でも目の前にいる守谷は・・・。
あんな優しい目で私を見たりしない。鋭い目で私を捉えていて、なにより冷めた声。
なんだか、自分の胸がズキズキと痛くなるのがわかった。