不意打ち男子のずるいとこ
「俺が変装してまで学校に来てるのは、
俺が 風使 だから」
「ーーー・・・え」
守谷のその言葉に一瞬自分の耳を疑った。
いや、守谷の言葉を疑いたかったくらいだ。
風使(ふうし)、
それはいくら不良やヤンキーに縁のない私ですら知ってる人物。
ケンカの最中にフッと現れてはその場を暴力で沈め、乱した後にいつの間にか、いなくなるって噂で聞いたことがある。
それがあまりの早さで、確か風の使いみたいだから 風使 って言われてるんだっけ。
出会ったら最悪、人生終わる。
なんて言葉を聞いたこともあるくらい。
そんな風使が、守谷だっていうの?
もし守谷が言うように、
もし、
守谷が風使だとしたら。
その場を暴力でおさめたりする人だった
の?守谷は。
なぜだか私の顔が青ざめてるような感覚に陥る。
それを察したのか守谷は気まずそうに私から視線を外した。
「でも、そんなこと俺はしない」
守谷のひとことは “ 俺は ” という言葉を強調しているように聞こえた。