不意打ち男子のずるいとこ





「俺が変装してまで学校に来てるのは、




俺が 風使 だから」






「ーーー・・・え」





守谷のその言葉に一瞬自分の耳を疑った。




いや、守谷の言葉を疑いたかったくらいだ。







風使(ふうし)、



それはいくら不良やヤンキーに縁のない私ですら知ってる人物。




ケンカの最中にフッと現れてはその場を暴力で沈め、乱した後にいつの間にか、いなくなるって噂で聞いたことがある。




それがあまりの早さで、確か風の使いみたいだから 風使 って言われてるんだっけ。





出会ったら最悪、人生終わる。






なんて言葉を聞いたこともあるくらい。








そんな風使が、守谷だっていうの?





もし守谷が言うように、


もし、




守谷が風使だとしたら。


その場を暴力でおさめたりする人だった
の?守谷は。





なぜだか私の顔が青ざめてるような感覚に陥る。




それを察したのか守谷は気まずそうに私から視線を外した。






「でも、そんなこと俺はしない」






守谷のひとことは “ 俺は ” という言葉を強調しているように聞こえた。









< 40 / 208 >

この作品をシェア

pagetop