不意打ち男子のずるいとこ
不意打ちすぎてドキドキ収まらないよ。
「あ、ありがとう・・・」
「おー」
ドキドキしすぎてお礼が小さい声になってしまった。
うう・・・、どうしたらいいのかわかんない。
自分じゃどうしようもないこの感覚に、戸惑ってしまう。
少し前を歩く守谷を直視できなくてチラリと見る。
・・・バカか私は。
守谷は前を歩いてて、こっち見てないのに何で直視できないの!!
それにしても、後ろ姿だけでも王子様。
・・・ホントはヤンキーなんだけどね。
背だって私の頭ひとつ分、いや、それ以上高い。
キレイな茶髪の髪が歩くたびに揺れる。
ボーッとその後ろ姿だけで見とれていると、
突然守谷の茶髪の揺れが止まった。
「新沢」
守谷の声が近くで聞こえてハッとなる。
私の歩くペースに合わせてくれたみたいで、いつのまにか守谷が隣にいた。
そんなささいで、小さな優しさでも、私には胸を嬉しさでいっぱいにすることができるんだ。