不意打ち男子のずるいとこ
お互いに何も話さずに帰り道を歩く。
「ごめん」
最初に口を開いたのは守谷だった。
「俺ってこんな奴なんだよ、感情が先走って。
何も考えずに、言葉選ばずに、言っちまって。
・・・大切な人さえも傷つけてしまう」
力なく笑いながら言う守谷の横顔を見つめる。
その表情は何かを悩んでいるようにも見えた。
・・・そんなことない。
そんなことないのに。
「そんなことないよ?
守谷はいつも周りのこと見てる。
今日だって私の日直だって仕事してくれて・・・、
自分の本当の姿隠してまで学校来て、周りの人たちを傷つけないようにしてる。
守谷は優しいんだよ、
優しすぎるんだよ」
自分で何言ってるのか分からない。
分からないけど、どうにかして守谷に伝えたい。
それが伝わるように、
少しでも伝わるように、
守谷の横顔を見つめる。