不意打ち男子のずるいとこ





「よろしく新沢さん!」






突然、目の前で優しく笑う久留米くんが私の目に映る。




背景ではいつの間にか授業は終わっていて、皆が帰る支度をしていた。







「あ、うん


頑張ろうね!」




できるだけ今の感情が顔に出ないように私も笑った。





「お、おう


じゃ、また明日」






そう言うと久留米くんはそそくさと教室を出て行く。





その瞬間、守谷とすれ違った。






あ、




って心で思ったけど声なんてかけられなかった。






もちろん守谷はあいさつもしないし、私なんて見ていなかった。








そっか。


私は守谷の秘密を知ったから、避けられてるんだね。






あの時守谷のメガネなんて外さなきゃ、



あんな好奇心なんて捨ててれば、






こんなことにはならなかったのに。





今さら後悔しても遅いけれど、



そう思うと守谷への思いに気づいてしまったことを後悔した。






余計、気づかされたことによって苦しさが倍になる。







でも、私は守谷が好きなんだ。







その事実に変わりないことは恋をするのが始めての私にでも分かることだった。









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