先生、甘い診察してください
その日の放課後。
急いで医院に駆け込んだ。
「あやちゃ~ん。いらっしゃい」
「先生っ!見てください!」
診察室から出てきた先生に、真っ先に英語のテスト用紙を見せた。
「65点、取れました……」
「おぉ!」
「これも全部、先生のおかげです……」
「すごーい。やっぱあやちゃんは、賢い子だね~。すごいな~」
褒め方も、緩い。和むからいいけど……。
「で、ご褒美何にするか決めた?」
「……決めてません」
いろいろ迷って、なかなか決められない。
決断力ないなぁ、私。
「あっれー。それってテスト用紙?見せてよ」
大橋先生の手から、ヒョイッと簡単にテスト用紙を奪い取った櫻田先生。
いつからそこに?
「英語……65点!すごいじゃん!あやちゃん、天才じゃないの?」
この高いテンション、ついて行けないよ……。
「俺さ、英語って、いっつも赤点だったなぁ。確か、10点とかだった」
櫻田先生って、あんまり頭脳は優れてないみたい。
よく医者になれたなって、つくづく思う。
「純、あんまアホな話しないでくれるかな?」
「智也チャンったら、つめたーい」
「あやちゃん、こいつは無視していいよ」
うん、スルーした方がよさそう。
「ご褒美、何がいいか、考えておいてね」
「はーい」
テスト、がんばった甲斐があったなぁ。