先生、甘い診察してください

甘いご褒美




テストが終わって、無事に夏休みを迎えた。


ご褒美は何にしようか、ずっと考えてはいるんだけど……。



「あやちゃん、どう?何がいいか、決めたかな?」



今日は治療の日。



診察台に座った私に、カルテを見ながら先生が尋ねてきた。



「まーだ決まってない?」

「はい」


決断力のなさにほとほと呆れる。



「ゆっくり決めてくれていいよ。確か、もう夏休みだっけ?」

「はい。先生って、海とかプールは行かないんですか?」



治療の用意をしながら先生は、「そうだなぁ」と小さく呟いた後、



「行かないな~」


緩く答えた。



「この年にもなって水着になるのはねぇ。一応、純に何度か誘われたけど」



先生なら、まだまだ十分いけると思うけど。



「あやちゃんは?お友達と、行ったりするの?」

「私は……水着が、ちょっと」



水着になるのは、ちょっと恥ずかしい。スタイル良くないもん。




「えー、あやちゃん水着似合いそうなのに」

「そ、そうですか?」

「うん。可愛らしいワンピースの水着が似合いそう」


今度、ワンピースの水着、買いに行っちゃおうかな?



夏休みはまだまだ、始まったばかり。


楽しい夏休みになるといいな。


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