先生、甘い診察してください
「で、もう決めたかな?」
今、私はいつも通り治療を終えて、医院の奥の休憩室にいる。
「休憩室でゆっくりおしゃべりしよ~」って言われて、今に至るってわけ。
「いろいろ考えたんですけど」
結局迷った挙句、
「せっ、先生が嫌じゃなかったら……また、一緒にお茶に行きませんか!!」
そう。
散々悩んで決めた結論が、これ。
「あやちゃん、そんなのでいいの?」
「はい」
先生は「そっか」って呟いて、ポンッと私の頭に手を置いて、
「よし。じゃあ決まり。明日でいいかな?丁度日曜だし」
明日!随分と急ですね。
「家までお迎えに行くね」
「そんな…悪いですよ。それに、お迎えに来ていただけるのは嬉しいですけど」
明日は、お兄ちゃん、ずっと家にいると思うから……。
「2人でお出掛けする事、お兄ちゃんにバレるのは、ちょっとヤバイんです」
「あ、そっか~。じゃあ、待ち合わせしようか」
待ち合わせって、何かカレカノっぽいかも。
「純におススメって教えてもらった所に行こうか。そこのイチゴタルトが絶品らしい」
「はい」
明日も、ジュースしか頼んじゃダメなのかな?
「あ、明日は甘い物、食べてもいいよ。解禁って事で」
やっぱこの人は、歯医者さんらしくないや。
でも、そんな所も……好き。
"好き"って、思い切って言っちゃおうかな?
夏休みの間に、告白してみようかな。