先生、甘い診察してください



「で、もう決めたかな?」



今、私はいつも通り治療を終えて、医院の奥の休憩室にいる。


「休憩室でゆっくりおしゃべりしよ~」って言われて、今に至るってわけ。




「いろいろ考えたんですけど」


結局迷った挙句、




「せっ、先生が嫌じゃなかったら……また、一緒にお茶に行きませんか!!」



そう。


散々悩んで決めた結論が、これ。





「あやちゃん、そんなのでいいの?」

「はい」



先生は「そっか」って呟いて、ポンッと私の頭に手を置いて、



「よし。じゃあ決まり。明日でいいかな?丁度日曜だし」


明日!随分と急ですね。




「家までお迎えに行くね」

「そんな…悪いですよ。それに、お迎えに来ていただけるのは嬉しいですけど」



明日は、お兄ちゃん、ずっと家にいると思うから……。




「2人でお出掛けする事、お兄ちゃんにバレるのは、ちょっとヤバイんです」

「あ、そっか~。じゃあ、待ち合わせしようか」


待ち合わせって、何かカレカノっぽいかも。



「純におススメって教えてもらった所に行こうか。そこのイチゴタルトが絶品らしい」

「はい」


明日も、ジュースしか頼んじゃダメなのかな?




「あ、明日は甘い物、食べてもいいよ。解禁って事で」


やっぱこの人は、歯医者さんらしくないや。


でも、そんな所も……好き。



"好き"って、思い切って言っちゃおうかな?




夏休みの間に、告白してみようかな。



< 104 / 497 >

この作品をシェア

pagetop