先生、甘い診察してください
次の日。
朝から着て行く服に、悩まされていた。
「どうしよう……」
お気に入りのピンクのワンピースはこないだ着て行ったからなぁ。
迷った挙句、結局白いレースのスカートを履いて行く事に。
これもお気に入りだからね。
「……あや、そんなにオシャレして、出かけるの?」
リビングで新聞を読んでるお兄ちゃんに、鋭い指摘をされた。
「う、うん。ちょっと、ね」
「なんか最近のあや、雰囲気変わった……」
「嘘っ!」
思わぬ言葉に、興奮して大声が。
「ちょっと色っぽくなったっていうか、顔が……恋する乙女っぽいっていうか」
恋する乙女っ!!
もう!何でそんな鋭い事言うの?
「気のせいだよ。気のせい。あ、そろそろ行かなきゃ。じゃあね!」
走って家を出た。
勘付かれそうな気がしたから。
うちの兄は昔から、妙に鋭いからね……。
「あ、髪の毛……」
結んで行こうと思ったのに、慌てて飛び出してきちゃったから、下ろしたままだ。
まぁ、いいか。
ドキドキと高鳴る鼓動を押さえ、待ち合わせ場所へと向かった。