先生、甘い診察してください


私の手、汗で湿ってない?


私と手を繋ぐの、先生は嫌じゃない?



ドキドキしつつも、いろんな思いが駆け巡る。



「あやちゃん、疲れた?大丈夫?」



歩きながら、先生は何度も私の方を見て、そう尋ねてきた。



「全然大丈夫です」

「いいね~。若いって」



他愛もない話をしてるうちに、お店に到着。


なかなかオシャレな感じのカフェ。


今度、琉璃ちゃん誘って来てみようかな。




私は、櫻田先生が絶品って言ってたイチゴタルトを頼んだ。


今日は甘い物解禁みたいだしね。

一方の先生は、アイスコーヒーだけ。



「……髪」

「へ、髪、ですか?」



唐突に話を振られたけど、内容の主旨がわからない。





「下ろしてるのもいいけど、こないだの……えっとー」

「ポニーテール」

「あ、そうそう。ポニーテールも、似合ってて可愛かったよ」


好きな人からの可愛いって言葉は、私をノックアウトさせるには十分だった。



「あの髪型、馬の尻尾に似てて、なんか和む」


喜んでいいのか、複雑な褒め言葉。



「先生って、本当にマイペースですよね」

「そう?」


マイペースだし、読めないっていうか、考えてる事がイマイチわからないっていうか……。




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