先生、甘い診察してください
「先生って、結婚願望とか…あるんですか?」
聞いた後で少し後悔したけど、先生はいつものように笑ってた。
「結婚とかさ、考えた事ないな。そろそろ考えなきゃいけない年だけど」
それを聞いて、少しホッとした。
先生にも、好みのタイプはあるのかな?
年下は対象外かな?
「……ちゃん、あやちゃん」
名前を呼ばれてハッとすると、目の前にはイチゴのささったフォークが。
「ボーっとし過ぎ」
どうやらボーっとし過ぎて、注文したタルトがきた事に気づかなかったみたい。
「はい、あーんして」
「自分で食べれます」
「早く~。あーんして?」
こういうやり取りをしてると、傍から見たら、カップルに見えたりするのかな?
「どう?純が押してたタルトの味は」
「確かに……とても、おいしいです」
ドキドキし過ぎて味なんてわからないよ。
「僕も一口ちょうだい」
先生は、フォークにタルトを適量さして、躊躇なくパクッと食べた。
「ちょっと……先生……フォーク……」
「フォークがどうかしたの?」
どうやら気づいてないみたい。
(間接キスだ……)
大橋先生と、間接キス、しちゃった。
本人は全く気づいてないけど。