先生、甘い診察してください
「よかったらさ、一緒に行く……?」
大橋先生の口から飛び出したのは、衝撃的な言葉だった。
冗談?
私をからかって楽しんでる?
「あ、冗談とかじゃないよ?一応、マジのつもり~。で、どうかな?」
……嘘。
夢みたいだけど、でも……、
「陽菜ちゃんと、行くんじゃないですか?…誘われてたみたいですし……」
きっと陽菜ちゃんは大橋先生の事が……。
「陽菜ちゃんの誘いは、断るつもりだから。せっかく誘ってくれて悪いけど」
それを聞いて、内心ホッとした。
「OKしたら……期待させるみたいで、悪いかなって」
陽菜ちゃんの気持ちに、薄々気づいてるの?
「あの…私は、日向くんに…誘われてるんです……」
一応、日向くんの方が先約だから……。
「…そっか。残念」
大橋先生は、明らかにシュンッとしてた。
その姿に、胸が締め付けられた。
「ごめんなさい。せっかく、誘ってくれたのに……」
もったいない事したかな?
でもこの場合、先約を優先した方がいいよね?
日向くんだって、大切な人だもん。
そもそも、どうして私を誘ってくれたんだろ?
大橋先生の考えてる事って、やっぱりよくわからないや……。