先生、甘い診察してください


「ちぇ。あんなにすくったのに」

「まぁまぁ」


たくさんすくっても、結局2、3匹しかくれないのが、金魚すくいの掟。



「俺の金魚……」



あぁ、かなり不満そう。




「ねぇねぇ。私、リンゴ飴食べたい」



一応、お祭りに行ったら必ず食べる品。


私の好物でもある。



ん?あれれ?ちょっと待てよ。


リンゴ飴って普通に甘い物だよね?


治療が終わってないから、甘い物はあまり食べたい方がいいんじゃないの?私……。




「小さいのでよかったのか?」

「うん……」


結局小さいのを購入。




「あ」


歩いてると、日向くんが急に足を止めた。



「どうしたの?」

「射的だ……」


目がキラキラ輝いてる。


そういや日向くん、射的好きだったっけ。



「あや!あの中で何か欲しいもんある?」

「欲しい物~?」



リンゴ飴を舐めながら、並んでる景品を見渡した。



「あ……」


私の目に留まったのは、小さなクマのぬいぐるみ。


大橋先生が好きそう……。




「あのクマ、欲しいの?」

「…うん」

「取ってやるよ。ちょっと待ってな」


漫画に出てくるような、男前なセリフを残して、日向くんは射的を楽しそうに始めた。



私はそれを少し離れた所でボーっと見つめてた。


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