先生、甘い診察してください


「ねぇ、キミ、1人?」



リンゴ飴を食べ終わった時、急に声をかけられた。


振り向くと、いかにも軽そうな大学生くらいの男の人が2人立ってた。




「よかったらさ、俺らと一緒に遊ばない?」


馴れ馴れしく私の肩に腕を回してきた。



「は…離してくださいっ…」


軽く睨んで、ちょっと抵抗してみたけど、



「それ睨んでるつもり~?」

「怒った顔も可愛いね~」


効果なし。


困り果ててると、




「気安く触るな」


突然腕をグイっと引っ張られて、日向くんの胸にすっぽり納まった。



「汚い手で触ってんじゃねーよ。あっち行け」


日向くんでも、こんなしゃべり方するんだ。



「何だよ、こいつ……」

「つーか彼氏持ちだったのかよ」


そんな言葉を残して、2人は人ごみの中に消えていった。



「何で俺のそばから離れるんだよ。こんな人がたくさんいる所で離れたりするなっ!」

「ごめんなさい……」


怒ってる彼が怖くて、素直に謝った。



「わかればよろしい。とにかく、俺のそばからは絶対離れるな。あと、これ」


目の前に差し出されたのは、小さなクマのぬいぐるみ。



「やるよ」



照れくさそうにしてる日向くんが、可愛くて、思わず笑ってしまった。

これ、カバンにつけようかな。



「行くぞ」


日向くんは、私の手を握って、歩き出した。


< 124 / 497 >

この作品をシェア

pagetop