先生、甘い診察してください
「ねぇ、キミ、1人?」
リンゴ飴を食べ終わった時、急に声をかけられた。
振り向くと、いかにも軽そうな大学生くらいの男の人が2人立ってた。
「よかったらさ、俺らと一緒に遊ばない?」
馴れ馴れしく私の肩に腕を回してきた。
「は…離してくださいっ…」
軽く睨んで、ちょっと抵抗してみたけど、
「それ睨んでるつもり~?」
「怒った顔も可愛いね~」
効果なし。
困り果ててると、
「気安く触るな」
突然腕をグイっと引っ張られて、日向くんの胸にすっぽり納まった。
「汚い手で触ってんじゃねーよ。あっち行け」
日向くんでも、こんなしゃべり方するんだ。
「何だよ、こいつ……」
「つーか彼氏持ちだったのかよ」
そんな言葉を残して、2人は人ごみの中に消えていった。
「何で俺のそばから離れるんだよ。こんな人がたくさんいる所で離れたりするなっ!」
「ごめんなさい……」
怒ってる彼が怖くて、素直に謝った。
「わかればよろしい。とにかく、俺のそばからは絶対離れるな。あと、これ」
目の前に差し出されたのは、小さなクマのぬいぐるみ。
「やるよ」
照れくさそうにしてる日向くんが、可愛くて、思わず笑ってしまった。
これ、カバンにつけようかな。
「行くぞ」
日向くんは、私の手を握って、歩き出した。