先生、甘い診察してください
「あっれー?あやちゃん?」
突然、後ろから肩を掴まれて、声をかけられた。
この賑やかな声は、
「やっぱあやちゃんだ!すごい偶然だね!」
「……櫻田先生」
私に声をかけてきたのは、櫻田先生。
こんな所で会うなんて。
「こんなトコで会うなんて、これは運命じゃない」
テンションの高い櫻田先生に、私はただ苦笑いを浮べた。
「あやちゃん」
「あっ、大橋先生!」
櫻田先生の後ろから、ヒョコッと顔を覗かせた大橋先生を見て、テンションが一気に上がった。
「偶然だね~。結局、純と一緒に来ちゃった。本当は翔太くんも誘ったんだけど」
「お兄ちゃん、人ごみは嫌いですから」
「それにしても……」
大橋先生は、ジーっと、マジマジと私を見つめて、
「浴衣、可愛いね~。すっごく似合ってる」
「ほっ…本当、ですか?」
「うん。水玉模様、すごく似合う」
褒められるのは嬉しいけど、大橋先生にそう言われると、特別な言葉に感じちゃう。
「……あや、誰?知り合い?」
舞い上がったせいで、日向くんの存在をすっかり忘れてた。