先生、甘い診察してください
ついに迎えた通院の日。
何度も何度も、イメージトレーニングを繰り返し、自分を鼓舞して、家を出た。
「あっれ~?あやちゃんじゃーん」
暑い中歩いてると、後ろから賑やかな声が。
「……櫻田先生」
「偶然だね!一緒に行こうよ」
櫻田先生の右手には、アイスキャンディー。左手にはコンビニの袋。
「今の時間って、自由時間なんですか?」
「ううん、違うよー。でも暇だったから、買出しにね」
そんな勝手な事して許されるんだ。
医院に着いて中に入ると、冷房がしっかり効いてて、とても涼しかった。
「保険証預かるね。智也ね、他の子を診察中だから、少し待ってね」
保険証を渡して、ソファーに腰を降ろした。
ドックンドックンという、一定のリズムで激しく脈打つ鼓動。
これから告白する漫画の中のヒロインって、こんな気持ちなんだね。
「あーやちゃん、おしゃべりしよ~」
私の気も知らないで、カウンターから出てきた櫻田先生は私の横に腰を降ろした。
「こないだ一緒にいた幼馴染、カッコイイ子だね。彼氏候補?」
そりゃあ、ルックスは良くて、性格は明るくて優しい。勉強は学年トップ。
おまけにスポーツもできる。バスケ部所属で、しかもエース。
「…私は」
だけど、私は……。