先生、甘い診察してください
「今日は1番奥の診察スペースにしようね」
中に入って、先生の後ろをただ付いて歩くだけなのに、
「ぉわっ……!」
何もない所で、躓いて転んだ。
好きな人の前で…なんて大失態を。
「大丈夫?」
「すみません……」
慌てて体を起こした。
「全く、危なっかしいなぁ」
クスっと笑う声がしたと思ったら、体が急に宙に浮いた。
「え?先生……?」
「そこまでだから、我慢してね」
私、どういうわけか、大橋先生にお姫様抱っこされてる!
でも、単に私が危なっかしいからだよね?
個室になってる診察スペースに入って、ゆっくり診察台に下ろされた。
見た目とは違って、意外と力あるよね。
そのギャップも……好き。
ううん、ギャップだけじゃない。
先生の全部が好き。
笑った顔も
ボーっとしたところも
ほんわかしたところも
優しいところも
かなり抜けてるところも
一緒にいて和むところも
全部が好き。
何もかもをひっくるめて、全部が好きなんです、先生。