先生、甘い診察してください
「…どう、して……」
自然と口から零れ落ちた言葉。
「あやちゃん、僕らには年齢差がある。付き合うなら、同級生とか年の近い子の方がいいよ。その方が話も合うだろうしね」
先生から視線を逸らした。
俯いて、膝の上でギュッと手を握り締めた。
「付き合うなら、あの子がいいんじゃない?幼馴染の…日向くん。あの子なら、あやちゃんに釣り合ってる、お似合いだよ……」
嫌、聞きたくない。
先生の口からそんな言葉、聞きたくない!!
頼むから、残酷な事、これ以上は言わないで……。
「…あやちゃん」
肩に置かれた手を、払いのけた。
診察台から降りて、無言で診察スペースを後にした。
「ちょっと、あやちゃん…!」
慌てて追ってきた大橋先生に腕を掴まれた。
「……離してください」
「あやちゃん……」
「離してっ…!」
無理矢理手をふり払って、診察室を出て、急いで医院を飛び出した。
終わった、恋が終わった。
“失恋”という最悪な形で、私の恋は終わった。