先生、甘い診察してください
家の近くという事もあって、あっという間に到着。
「…はぁ」
今、歯医者さんの前にいる。
中に入らなきゃ。もうすぐ約束の2時になっちゃう。
(…よし)
小さく意気込んで、意を決して中へと足を踏み入れた。
中に入った途端、消毒液のような病院独特の匂い。更にキィィィという、独特の機械音が……。
この音、聞いてるだけで痛々しい。
「あや。来てくれたんだね。嬉しいよ」
帰ろうかなって思ったけど、無理だった。
待合室のソファーには、私が来るのを待っていたであろう兄の姿が。
「…待っててくれたの?」
「うん。来るかどうか、心配だった」
お兄ちゃんは当然ながら白衣。初めて見る白衣姿はカッコイイけど、少し怖くも感じた。
「そんなに警戒しないでよ。取って食べたりしないから」
「…うん」
さっきから心臓バクバク。
「私、ここから生きて…帰れるの?」
「あはは!大袈裟だな~。!悪いようにはしない。負担にならないようにするから。ね?」
「うん…」
ポンポンと頭を撫でられた。