先生、甘い診察してください



「それよりさ、やっぱ痛みだしちゃった?」


……さすが。




「はい…。実は、左側の歯が…痛み出して」

「マジかぁ~。治療中の歯はどう?痛む?」

「いえ…。そこは大丈夫なんです……」


ふいに、櫻田先生の手が私の左頬に触れた。



「結構、痛むんじゃない?」

「……はい」

「ねぇ、今日はこのまま帰っちゃうの?」



かなり不安だけど、一応この人に治してもらうってのも1つの手段だ。


櫻田先生に治してもらうって手段が、今の私にとっては1番無難かもしれない。



「あ、あの……櫻田先生……」

「あやちゃん!!今、時間ある?」


遮られた私の言葉。


予定は何もないから、コクンと頷いた。




「そっか!よし!!ちょっとおしゃべりしよ。近所に喫茶店があるから、そこ行こう」



手を引っ張られて、強制的に連行された。


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