先生、甘い診察してください
「智也、恋愛に対して臆病なんだよ。あの人、恋愛経験ほとんどないから」
あ、そういえば……。
「大橋先生って…、昔はいたんですか?その…彼女、とか」
あのルックスなら、モテて当たり前のはず。
「うん、いたよ。過去に1回だけ彼女作った事あるんだ」
予想してた返答だけど、ちょっとショックだな。
「でも、昔の話だよ?あいつがまだ新米で、大学病院に勤務してた頃だよ。しかもさ……」
何故か、気になる所で言葉を止めた。
「しかも、何なんですか?焦らさないでください」
「実は、智也がその彼女と付き合ってた期間……1ヶ月」
1ヶ月……。
……1ヶ月、ですと!!
「それって、付き合ったうちに入るんですか?」
「入るんじゃないの?」
お付き合い期間1ヶ月じゃ、やっぱ…してないのかな?キスとか……。
「相手は、同じ職場の衛生士の子で、その子の方から告白してきて付き合う事になったらしい」
同じ職場の人。
やっぱ高校生の私じゃ、不釣合いなのかも……。
「智也、生まれて初めての男女交際にかなりオロオロしてたけど、一生懸命尽くしてたと思う。うんうん」
…なんか、その人が羨ましい。
大橋先生と付き合えて、本当に…羨ましい。
「なのに1ヶ月して、呆気なくフラれちゃったんだよね。合わなかったみたい。で、別れ話の時、その彼女に“つまらない男だね”って言われたのがショックだったみたい」
な、何それ。酷いっ!!