先生、甘い診察してください


結局、歯医者さんには行かず、もらった痛み止めを飲んで、なんとか痛みをしのぐ日々が続いた。



ご飯はほとんど食べれず、体重は減る一方。



自分の口の中がどうなってるのか、洗面所の鏡で恐る恐る確認してみた。



「っ……」


確認して、すぐ後悔した。



左側の、1番奥の歯にポッカリ大きな、茶色い穴が空いてた。


かなり痛々しい。見なきゃよかった。




部屋に戻って、再びベットに寝転がり布団を頭から被った。


……もうすぐお兄ちゃんが帰ってくる。



そろそろ、新しい痛み止めをもらわなきゃ。





「ただいま」



玄関の方から声がした。お兄ちゃんが帰ってきた。




足音がこっちに近づいてくる。




―ガチャ


ノックもなしに部屋のドアが開いた。



足音がゆっくり近づいてきて、ベットの横で止まった。



「……お兄ちゃん、どうしたの?」



布団を頭から被ったまま声をかけた。


次の瞬間、




―バッ



「……!!」



急に布団が勢いよく捲られた。


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