先生、甘い診察してください
「えっ……」
すぐそばに立っている人物を見て、固まった。
「ごめんね。どうしても来たいって、しつこいから……」
部屋のドアの方で、申し訳なさそうな顔をするお兄ちゃん。
「何で…大橋先生が、うちに……」
しかも、白衣のまま。
もう診療時間は終ってるのに、どうして?
「こうでもしないとあやちゃん、僕とまともに顔を合わせてくれないもん」
普通に考えて、会いづらいに決まってる。
「あの…、2人…何かあったの?」
「あやちゃんと2人きりにさせて。部屋から出て行って」
少しキツめの口調でそう言って、お兄ちゃんの背中を押して部屋から追い出してしまった。
部屋には、私と大橋先生の2人だけに。
「これで、ゆっくりお話できるね……」
と言いながら、先生はベットに座った。
「家にまで押しかけて、本当にごめん…。でも、いつまでもこのままってわけにはいかないから……」
私だってそれくらいは、わかってる。