先生、甘い診察してください



「とにかく、我儘言ってないで、早く行くよ」



頭の中が混乱状態のまま手を引っ張られ、部屋から連れ出された。





私は強制的に医院に連行された。


お兄ちゃんは、大橋先生の気迫に怖気づいたのか、付いて来てなかった。




中に入ると、消毒液の匂いがした。



診察室に通されて、




「ここに座って」



診察台の上に座るように促されたけど、




「……」



私は座らず、その場にただ佇んでた。




今、私は大橋先生と本当の本当に2人きりの状態。



だって今ここには、櫻田先生もお兄ちゃんもいない。






「どうした?座るだけだから、怖くないよ?」


私は俯いたまま先生の言う事を聞かなかった。




私、子供みたい。



でも今、私の頭の中はグチャグチャだ。


気まずさと、口の中を見せる事の恥ずかしさ、何故か少しだけ湧いてきた反抗心などの様々な感情が入り混じってる。



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