先生、甘い診察してください
困惑するものの、心臓が今までにないくらいドキドキしてた。
先生の白衣からは、歯医者さんの匂いがした。
櫻田先生に抱きつかれた時も、この匂いがしたなぁ。
あの時は、すぐに嫌って思ったけど。
今は、ちっとも嫌じゃない。
「あやちゃん、僕はね、からかうために、女の子と出かけたり、キスしたりなんてしないよ」
「えっ…、じゃあ…どういう……」
それってまさか…という期待が過るが、自惚れてはダメ!と自分に言い聞かせた。
「……本当に、いいの?」
「えっ……」
「後悔してない?こんなおっさんに告白した事」
「後悔なんてするわけないですよ!!先生を好きになって後悔なんて、これっぽっちもしてません……」
先生を好きになった事は後悔してない。
するわけがない。
「いいの?僕で」
「いいんです…。私は、先生がいい。先生じゃなきゃ…嫌です」
先生の背中に腕を回しながら答えた。
「そっか。だったら……」
抱きしめる力がほんの少しだけ強くなったと思ったら、
「僕と付き合う?あやちゃん」
耳元で、甘く呟かれた。