先生、甘い診察してください
その言葉はマカロンよりも甘く感じた。
「もちろん、あやちゃんがよければだけど」
私の答えなんて、1つに決まってる。
「お付き合い、したいです…。先生と、付き合いたい…」
これって、本当に現実?
「そっかそっか。じゃあ付き合おうか…。今日から僕ら、恋人だね」
現実なのに、夢みたい。
恋人って聞いた途端、全身が痺れるように、熱くなった。
「夢、みたいです……。先生と、恋人…なんて…」
先生の胸に顔を沈めた。
真っ赤な顔を見られるのが、照れくさくて。
「顔、見せて」
「無理です。今は……」
「ダメ。見たいから、見せて」
肩を掴まれ、体を離されたと思ったら、先生の両手が私の顔を包み込み、クイっと上を向けさせられた。
「真っ赤だ」
「もう……」
「可愛いなぁ」
私の顔、今はきっとリンゴみたいなんだろうな。
「先生も、見せてくださいよ」
「え?」
「さっきからずーっとマスクしたままですよ?」
「え?あー、本当だ。忘れてたぁ……」
ニコッと子供みたいに無邪気に笑った後、先生は、
「あやちゃんが外してよ」
爆弾発言。
「えっ…私が?どうして」
「彼女の特権ってやつだよ」
どんな特権ですか!と心の中でツッコミを入れつつ、手を伸ばして、先生のしてるマスクの耳にかかってるゴム紐に触れた。