先生、甘い診察してください
「んっ…、くすぐったいってば」
「が、我慢してください…」
私はゆっくりマスクを外した。
「は、外しましたっ……!」
「よくできました~。偉い偉い」
マスクがなくなったおかげで、大好きな笑顔がよく見えるようになった。
今日から私達、カレカノかぁ。
良い響き。
「あやちゃん、いろいろとごめんね……」
ポイっとマスクをゴミ箱に投げ捨てて、先生はシュンッと眉を八の字に。
「傷つけた、よね…?」
「…そりゃあ、はい。傷つきましたよ」
フラれて失恋した時は、胸の中がグチャグチャになったもん。
「僕も本当は、告白されて…嬉しかったんだけどね」
嘘…。迷惑じゃなかったの?
「でも、僕ら…年齢差があるから。あやちゃんの周りには、カッコイイ人だっていっぱいいるだろうしね」
年齢差。
多分、大きな壁だと思うけど、でも私は……。
「気にしませんよ。そんなの……。年の差があっても、私は構いません」
今度は自分から先生に抱きついた。
「…そっか。よかった」
耳元で、先生のホッとした声が小さく聞こえた。