先生、甘い診察してください



「先生……」


甘えん坊さんなところも、可愛くて好きです。





「いっぱい傷つけて、ごめんね?だぁ~い好きだからね」




確かに傷ついたけど、こうして両思いになれたんだから、今はもう平気。


むしろ今では、いい経験だったかな、なーんて思う。





「そういや、あやちゃんって進路考えてる?」

「…考えてないです」



まだ高校1年だもん。


進路なんて、考えた事ない。






「考えてないのかぁ。じゃあ、うちで働く?」

「へ?」

「ほら、ここ、男3人だけのむさ苦しい職場じゃん?だから…どう?」



どうって言われましても……。


歯科衛生士さんになる予定はないしなぁ。





「でもまぁ、仕事は主に雑用かな。カルテの整理手伝ったり、みんなにお茶入れたり」



なるほど。


それくらいの仕事なら、私にもできそう。




「あと、仕事で疲れた僕を癒したり。こうやって抱きしめてるだけで、癒される」

「ちょっ…せ、先生……」




強い力でギュッとされて、ほっぺをスリスリ。





「まっ、いざとなったら永久就職ってのも…アリだけど」



永久就職?


それって……、つまり……、




「先生、それって……」

「んふふ」



穏やかに笑う先生の声は、少し色っぽく感じた。


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