先生、甘い診察してください



「あっ!そうだ」



私はある事を思い出した。




「先生、今度、うちの学校で文化祭があるんです」

「へ~。文化祭かぁ。楽しそう」

「…それで、よかったら……」



文化祭に来てください!!…って、簡単な言葉が口から出てこない。




「よかったら……なぁに?」



私が何を言おうか、何となくわかってるだろうに。



こういう時の先生は意地悪だ。




「文化祭、来てくれませんか……?先生と、一緒に…周りたいなって…」



クスッと小さく笑う声が聞こえて、




「よくできました」



耳元で呟かれた。



吐息が耳にぶつかって、くすぐったい。





「来れますか…?文化祭、日曜日なんですけど……」

「全然大丈夫!!じゃあ、純と翔太くんも連れて、総出で行くよ!」



総出って…、大橋先生さえ来てくれればそれでいいんだけど…。




「そこで私…、友達に先生の事…紹介しようと思ってるんです」

「まだ紹介してないの?」

「はい。どうせなら、直接会える機会に紹介したいなって思って……」



あ、そういえば。




「先生は言ったんですか?私達の事、誰かに……」

「そういや言ってないや」



櫻田先生はともかく、お兄ちゃんはどんな反応するかなぁ…。


< 183 / 497 >

この作品をシェア

pagetop