先生、甘い診察してください
「あっ!そうだ」
私はある事を思い出した。
「先生、今度、うちの学校で文化祭があるんです」
「へ~。文化祭かぁ。楽しそう」
「…それで、よかったら……」
文化祭に来てください!!…って、簡単な言葉が口から出てこない。
「よかったら……なぁに?」
私が何を言おうか、何となくわかってるだろうに。
こういう時の先生は意地悪だ。
「文化祭、来てくれませんか……?先生と、一緒に…周りたいなって…」
クスッと小さく笑う声が聞こえて、
「よくできました」
耳元で呟かれた。
吐息が耳にぶつかって、くすぐったい。
「来れますか…?文化祭、日曜日なんですけど……」
「全然大丈夫!!じゃあ、純と翔太くんも連れて、総出で行くよ!」
総出って…、大橋先生さえ来てくれればそれでいいんだけど…。
「そこで私…、友達に先生の事…紹介しようと思ってるんです」
「まだ紹介してないの?」
「はい。どうせなら、直接会える機会に紹介したいなって思って……」
あ、そういえば。
「先生は言ったんですか?私達の事、誰かに……」
「そういや言ってないや」
櫻田先生はともかく、お兄ちゃんはどんな反応するかなぁ…。