先生、甘い診察してください
「さーて、邪魔者がいなくなった。あやちゃ~ん」
再び私は先生の腕の中へ。
邪魔者って……、櫻田先生、すごい言われよう。
「あやちゃん…大好き」
「わ、私もです……」
傍から見たら、すごいバカップルだ、私達。
「そういえば、先生って誕生日いつ何ですか?」
せっかく彼女になれたんだもん。お祝いしたい。
「ごめん。もう過ぎた……」
お祝いしたい、という淡い気持ちは一気に砕かれた。
「僕の誕生日、8月だったんだ~。もう終わっちゃってるね~」
8月って…私が通院サボってた頃。
「お祝い、したかったです……」
「いいよそんなの~。35歳にもなってお祝いしてもらうのはねぇ~」
でもでも私、彼女なんですよ?
先生の事、大好きなんですよ?
祝ってあげたいと思うのは、当然じゃないですか!
「それに僕は、最高のプレゼントを…もらったから」
「へ?」
最高のプレゼントって、何だろ?
「あやちゃん」
「はい?」
「あやちゃんっていう最高の彼女ができた事が、最高のプレゼントって事」
やっぱり先生は、いつも私より上手です。