先生、甘い診察してください
「あやちゃんこそ、誕生日いつなの?」
「もうとっくに過ぎてます」
私の誕生日は、大橋先生に会う前に終わってる。
「3月だったんで……」
「そっかぁ。残念」
3月って言ったら、卒業式とかの、お別れの時期。
お別れの悲しい季節に誕生日なんて…ちょっと複雑。
「でも私は……好きな人と、恋人になれた事が、最高のプレゼントだと思います」
「あ~、僕の言った事マネした~。もう!お仕置きしちゃうよ」
軽くほっぺをつままれた。
「ん~。いはいれふ~!」
「んふふ。ちゃんとしゃべれてないよ?おもしろーい」
先生、完全に楽しんでますね。
ようやくほっぺをつまむ先生の手が離れたので、私はすかさず、
「治療の時以外で痛い事するのはやめてください」
と、言って、ちょっと拗ねてみた。
「ごめんごめ~ん。機嫌直してよ~」
いつもの緩い声が聞こえたと思ったら、チュッという音が。
「え、い、今……」
「これで許してね」
一体、今日は何回キスしてるんでしょうか。