先生、甘い診察してください
「ねぇお願い!治療受けて?早めに治してあげたいから」
「はーい、わかりました」
素直に従った。
あんまり困らせちゃ、かわいそうだもん。
結局診察室に行って、大人しく治療を受けた。
先生の言う通り、本当に全然痛くなかった。
「はい、終わり。がんばったね」
あっさりこの日の治療が終わって、呆気なさを感じて、少し寂しさも感じた。
「ありがとうございました」
「今日のご褒美は、イチゴ味のチョコレートだよ」
私にご褒美を渡し、先生は再びカルテに視線を戻した。
そういえば私、口の中に虫歯…13本もあるんだよね?
歯医者さんの彼女が虫歯だらけって、どうなんだろう。
「あの…先生」
「ん?気になる歯があるの?」
一瞬、聞こうかためらったけど、思い切って聞いてみた。
「先生って、虫歯…あるんですか?」
ちなみにうちのお兄ちゃんは、虫歯になった事がない。
「あ~、そういや、ないな~」
「…そう、ですか」
「僕が家が歯医者だから、親がいろいろうるさかったからね」
すごい、すごいけど……。
「……あやちゃん?」
何か自信なくすなぁ。