先生、甘い診察してください
文化祭が始まり、お客さんがゾロゾロとやってきた。
「お帰りなさいませ。ご主人様」
メイド喫茶なので、お客さんが来たら、必ずこの言葉を言わないといけない。
男の子はいいなぁ~。接客はせずに裏方だけなんて。
私も裏方がよかったなぁ。
「あやちゃん、お客さん来たよ?お出迎えして」
オレンジジュースを載せたお盆を持った琉璃ちゃんに耳元でそう言われた。
「お帰りなさいませ!ご主人……」
「…あや」
え?
えぇっ!!!!
「ひっ、ひひひ日向くん!!何で、ここに?」
「あやの姿を一目見ようとな」
ひぇ~。だからって…日向くんにこんな格好見られちゃったぁ。
「おっ、あやちゃん可愛い」
「やっぱ似合ってるな。萌え~って感じ」
日向くんの友達が、ジロジロと私を見つめた。
そんな友達2人に、日向くんがすかさずゲンコツをお見舞いした。
「ジロジロ見てんじゃねぇよ!」
怒鳴った後、チラッと私を見て、
「それ、似合ってるじゃん。あやは、何着ても可愛いな」
「へっ…」
褒め言葉を残して、「じゃあな」と言って、日向くん達は帰って行った。